ウミゾイ・ノイエ / Seaside House

北海道小樽市、日本海沿いの丘陵分譲地に建つ住宅。敷地の北側半分は海にむかう急斜面で、建物のすぐ下を地域の生活道路、その1段下を交通量の多い国道が、更に崖下の海岸沿いを鉄道が横切っている。
クライアントは70歳代のご夫婦で、リタイア後の生活を海の見える場所でゆっくり静かに過ごすため札幌の住宅地からこの丘へ移り住む。「生活のなかに海や光をどのように取り込むか」、「年齢やライフスタイルに似合う建物の様相」、「近隣住民との適度な距離感」など、この設計をすすめる上でのテーマは、ご夫婦との何気ない会話の中から見出された。二人のこれまでの生活からの極端な変化を避けつつ、今後の生活が無理なくスムースに行えるような配置、間取り、採光、通風、設備を検討した結果、肩肘を張らない自然体の住まいが出来上がった。

撮影:酒井広司  Photo: Koji Sakai