コミチ・ノイエ

交通量のある国道と、自然が残る河川という異なる環境に挟まれた敷地に建つ住宅。我々は、間口13メートル・奥行き39メートルという敷地の中に「都市から自然へ向かう小道」をつくろうと考えた。

河川敷に生い茂る大きな木々に建物が溶け込んでいくよう、国道から川に近づくにつれ「硬い素材」から「軟らかい素材」へ移行するデザインとし、順に「コンクリート」、「鉄板」、「木」を使用した3つの箱を並べている。

内部の仕上げ材や、外構デザインもこの考えを踏襲し、床レベルの変化や窓の配置などと共に、室内の小道に「自然へと向かうシークエンス」を提供する。

小道の最も奥に位置する箱は、内外とも木質素材でつくられた別荘のような空間で、家族が集う寛ぎの場は、大きなスライドドアを開け放つと、谷に浮かぶ木製のテラスと一体化し、木々の香りやせせらぎをダイレクトに感じ取ることができる。

撮影:酒井広司  Photo: Koji Sakai