ヒカリハシラ・ノイエ
札幌市中心部から路面電車で南へ30分程、藻岩山の裾野に広がる住宅街に建つ住宅。旗竿型の敷地内を2つの用途地域が跨いでおり、周辺には高層集合住宅が点在する。
南側の隣地は、用途地域の違いから今後高層の建物が建つことが予想され、四方を隣家に囲われた状況がより厳しくなる可能性もあることから、プライバシーの確保を主眼とした中庭タイプのプランをベースに設計を進めた。
周辺からの視線を隔てつつ、クライアントが求めた充分な採光と開放感を確保するため、リビングやダイニングといったメインスペースを2階に配し、その中心に階段を擁した大きな吹き抜け空間を用意した。吹き抜けの最上部には、屋上に出入りできる大きなハイサイドライトを設け、階段動線としてだけでなく、1階も含めた室内に光や風を届ける役割を持たせている。
こうした縦の広がりに対し、西側には駐車スペースの屋根を兼ねた中庭的なテラスを設け、それをメインスペースと繋げることで、横の広がりを確保した。
家族の居場所となる殆どの場が、吹き抜けに面しており、離れていても互いの気配を光と共に感じることが出来る。
住まいの中心にあって屋根まで伸びる吹き抜けは、あたかも大黒柱のように家族の記憶を紡ぎ、同時に住まいを支えていく、この家に無くてはならない光の柱である。
撮影:酒井広司 Photo: Koji Sakai