Jeougok先史博物館(韓国)
現在、Hantan川に囲われたこの敷地周辺には幹線道路や多くの住宅が点在しています。そこにはHantan川からJeongok-riの丘までにいたるグラデーションというものはなく、世界的にも貴重な発掘現場や特徴的な玄武岩の断面は、日常と隣り合わせの単なる小さな丘として扱われているように見えます。そこで私たちはこのプロジェクトにおいて、建物も含めた敷地全体を使ってJeongok-riの丘の『裾野』を作り出そうと考えました。博物館を含むサイト全体は、樹木や土をふんだんに利用し丘とひとつながりになるランドスケープデザインです。『裾野』は物理的な意味合いだけではなく、現在と過去、人工と自然、日常と非日常とをやわらかに繋ぐ緩衝帯のようなものであり、人間の感覚としての『裾野』をも意味します。つまり我々は日常生活からこの過去を感じ取る為の場所にいたるグラデーションをつくり出そうと考えたのです。
博物館はJeongok-riの丘の特徴的な玄武岩層を観察する為に斜面を薄く切り取り、その表皮と丘との間にできた隙間に建設されます。日常と石器時代との間に横たわるやわらかな緩衝帯が丘の斜面に沿った新たな地形となるのです。